深遠なる知性
無限の思考
冷静に見つめる瞳
凍れる蒼
あなたを彩る
そのカラーさえもが
俺を捕らえて離さない
Frozen Blue
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Clear Azure
午後の屋上
気持ちのいい風が吹き抜ける、誰もいない特等席
全身をコンクリートに投げ出して
見えてしまう眼鏡を外して、ぼやけた世界を映し出す
裸眼の世界は全ての輪郭がぼやけているのに、この空だけは別だった
どこまでも透明な蒼
突き抜ける空
この裸眼の世界でも変わらずに見ることのできるたった一つの世界
「サボり過ぎっすよ」
「薫?」
「疲れてるんなら、ちゃんと休んでください」
隣に座り、俺の髪を優しく弄るのは、このたった一つの世界が誰よりも似合う人
「もっと…よく、顔を見せて?」
「眼鏡外すからだ」
ぼやけた輪郭が少しずつクリアになる
はっきりと彼の顔を裸眼で見れるのは顔がくっつく寸前
「ああ、やっぱり…」
「何が?」
「似合うよ」
口元が微かに動く
君の声が出る前に、その唇を唇で塞いだ
甘い口吻を味わいながら見る、睫を震わせて瞼を閉じる艶やかな君と透明な空
それは
素顔の俺だけが見る、何よりも大切な特上の世界
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Aqua Marine
いつかね
いつか一緒に行こうね
何処に行く?とか、どうする?とか
全て失くして、気まぐれに着いた先
綺麗とは決して言うことの出来ない緑の海
「アクアマリンには程遠いな」
「仕方なしっす」
「いつか本当のアクアマリンを見に行こうな」
「二人っきりなら」
それでも二人そこから動かなかった
「ロマンの欠片もないね」
「そうでもないっすよ」
砂浜に立って、闇に縁取られる海を見つめる
「夜になれば、色もわからない。音だけなら綺麗っすよ」
「ああ、そうだな。静かな波の漣は作られた音楽よりもよっぽど綺麗だな」
目を閉じて、闇に溶ける漣に耳を傾ける愛しい人
アナタと二人なら、どこでだってロマンティックになれる
そんな恥ずかしいこと、口に出して言えるわけないから
これは秘密の睦言
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Blue Storm
外は嵐
天気予報では台風が近づいてることを知らせている
目の前では、些か興奮気味の後輩兼恋人が窓にはりついて外を眺めている
「楽しい?」
「何かワクワクする」
いつもよりも少し顔を紅潮させて早口に言い切る恋人
俺はまだあんな顔させたことないのになとつまらないことを考える
「興奮してるね」
「っすか?」
彼の傍に近づいて後ろから覆いかぶさるように抱きつく
「興奮してるんだ」
「せんぱ…ぃ…」
耳元でトーンを落として囁く
それで簡単に陥落する体
いつもよりも興奮してる君には
これだけで決定打になるだろ
「外見てていいよ」
「やっ…見えちゃう…」
「嵐の中、高層マンションの最上階、見えるわけないよ」
「でも…」
「声も聞こえないさ、これだけ雨脚が強ければね」
ピクン・ビクっと声を落とすたびに震える愛しい体
いつもより早く堕ちてくる心
きっと君はそんな自分の体の変化に戸惑っているはず
君はその原因に気付いてないから
気圧って、人の心にも変化をもたらすって知ってかい?
知ってて利用する俺は、史上最悪の卑怯者
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Blue Life
青いハブラシ
青い茶碗・湯飲・コップ
青のエプロン・ スリッパ・パジャマ
全てを青で埋め尽くして
「カーテン」
「青」
「シーツ」
「青」
青で満たされる部屋
「こんなもの?」
「こんなもんっすね」
二人の両手に溢れるたくさんの青
「帰ったらまず」
「カーテンつけて、シーツかけて…」
「即物的」
「カーテンつけないと家の中丸見えだろ?シーツだって、寝るんだからかけないと…」
「魂胆がみえみえなんだよ。そんなの夜でもいいだろ」
君の希望で買った青い車に乗って
「まずは一緒に暮らす挨拶をね」
「必要ねぇ」
「さっきまで薫の希望聞いてたんだから、俺の希望も聞いて欲しいな」
「卑怯者」
「あれ?知らなかった?」
「好きにしろ」
君の好きな色に囲まれた小さな部屋に帰ろう
「これからよろしく」
「よろしくお願いします」
君と一緒に暮らす最初の日
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Frozen Blue
彼のイメージは青
透明に近い青
「どうして?」
面白そうに片眉をあげて聞くのは彼の癖
「静かで冷たい…海…」
透明で、それでも深く潜れば闇へと変わる…
透明な優しさと闇に隠れた孤独
「後、氷…」
「氷?」
「触ったら火傷する…」
「火傷?ああ、低温火傷のこと?窒素とか使う」
「はい」
熱い炎でなく、冷たい氷の激情
冷たい氷の中に隠れた、火傷しそうな熱
「…でも、触りたい」
その熱を直に感じたい
「奥底まで全て感じて、知りたい」
アナタという存在を
「氷に焼かれるよ?」
「アナタになら焼かれたい」
「最高の殺し文句だよ、ソレ」
アナタの熱に焼かれ堕ちるなら本望だから
俺にもアナタの熱を頂戴?
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