やっぱり、次の日が休みだと、ついつい夜更かしをしてしまうわけで…
パソコンに意識を集中させている、乾を胡乱な瞳で睨む人物が一人…
海堂 薫だった。
部活が休みだと、ついつい泊まりにきてしまう乾の家の、乾のベッド。
少し前までは、確かに横にいたはずなのに。
そおっと、乾の背後にたって後ろから首を絞める。
「グエッ」
乾の口から漏れた蛙のつぶれたような声に、海堂は小気味いい笑みを漏らす。
「夜更かしすんなって、何回言ったらわかるんっすか?」
「…ごめんなさい」
睨むのではなく冷たい視線を投げかけてくる海堂に、乾は素直に謝る。
「それから、俺は枕ないと寝れねぇんだよ」
「…それって、俺が枕ってこと?」
訊ねる乾に、海堂の表情は当たり前と語っていた。
「次やったら、二度と先輩としねぇ」
「二度としません」
流石に目の前の餌には敏感なのか、打てば響くような速度で返事が返る。
「寝ますよ」
「うん…」
ベッドに戻っていく海堂に対し、即答したはずの乾は、まだ物足りないのか、パソコンの電源を切るのを躊躇っている。
「金輪際…」
ブチッ
ベッドから聞こえてきた声に反応して、乾が素早い動作で電源を切る。
「ったく、最初からそうすりゃいいのに…」
隣にもぐりこんできた乾の体に擦り寄る。
「先輩、手」
「はいはい」
ベッドの中で、寝る態勢を整える乾に、海堂が自分の頭を下を叩く。
ここに、腕を置けということらしい。
「ちゃんと寝ろよ、万年寝不足男」
「はい」
「俺のこと、抱き枕にしてもいいからさ…」
「…え?いいの?ラッキー」
「徹夜されるよりいいからな」
「じゃ、遠慮なく」
枕にされてない手をまわして、海堂を抱き締める。
お互いを枕に、二人は翌朝までぐっすりと眠れたということだった。
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