Immature Heart 1



青春学園中学は東西南北に4つの寮をお持ちです。
そのうちの一つ、東の「東雲寮」は青春学園テニス部専用の寮になっており、テニス部員は強制的に入寮させられます。この寮は1階に4人部屋、2階に2人部屋、3階にリビングつきの2人部屋と1人部屋があります。
そして、1年が4人部屋に、2年が2階の2人部屋、3年及び、レギュラーが3階の2人部屋、部長・副部長のみが1人部屋を使うことになっています。
さてさて、今年入った1年たちですが、部屋割りのために人数を4で割ると…

「1人、余りましたね」
「どうしますか?1人で4人部屋使わせますか?」
「う〜ん、そういうわけにもなぁ…」

部長が困ったように首を捻ります。

「…乾の部屋に入れたら?」
「おい、菊丸」

困った部長に助けの声が。
だが、ここで名前を出された乾さんは困り者。
折角の悠々自適の1人暮らしを邪魔されるの遠慮したかったのです。

「それだと、その余った1年がレギュラー部屋に入ることになるんで、他の1年たちから苦情が来ないですか?」

もっともな意見を述べて、遠まわしに断る乾さん。
それを聞いた部長さんは、ふむふむと納得しかけますが、ここにはレギュラーが勢ぞろい。

「でも、4人部屋を1人で使うのも文句を言われるにゃ」
「それに、いくらレギュラー部屋に入れるってたって、先輩と同室は気を使うから、嫌なんじゃないかな」

乾さんの考えはお見通しな不二がいらしゃったのです。

「そう考えると、四人部屋だが同学年の気を使う必要のないものと過ごすのも、2人部屋だが、先輩と同じために気を使いながら過ごすのも、大差はないかもしれんな」

今は、副部長であらせられる手塚が、綺麗にまとめてくれちゃって、

「そうだな。では、1年の1人は乾と同室ってことで、決定だ」

部長の決定が下された。

「不二、手塚覚えてろよ」

気ままな1人暮らしを止められた乾が心の中で呟く。
この2人をどうしてやろうかと、画策してるんだね。

「で、誰を乾の同室にしますか?」

大量の入部届けを見つめて、新たな問題発生です。

「乾が決めたらいいぞ」

部長はお優しい人なので、同室の相手くらいはと思っての言葉なんですが、こんなあったこともない名前だけの後輩から選べと言われても、無理な話で…

「誰でもいいですよ」

うんざりした様子でおっしゃるので、ここで不二君が取り出したのは、

「じゃあ、公平にクジってことで」

とクジを入れる箱を取り出しました。
入部届けを全て中に入れて、乾に渡す。

「じゃ、乾。一枚引いてね」
「へいへい」

面倒くさそうに引いた入部届け、そのこに書かれた名前は

「海堂 薫…」
「うおっ、乾凄いじゃん」

乾が口にした名前に菊ちゃんが驚く。

「何が?」
「だって、乾ってば女の子と同室なんだもん」

ガタッ!ゴトっ!!ズルッ!!
あんまりな言葉に一同某お笑い番組のような見事なコケを見せてくれた。

「バカ者、ここは男子部だ」

眉間に深い、それはもう物凄く深い皺を刻んだ手塚が、菊ちゃんの頬を引っ張る。

「いひゃ、いひゃい…」
「英二、薫って名前は男の子に使っても問題ないんだよ」

それもう、楽しそうにおなかを抱えて笑ってる不二が説明をあげる。

「…いっそのこと、女だったらな…」

ズレた眼鏡を直しながら呟く乾に

(何をする気だ、乾!!)

突っ込む彼らは、新たに乾と同室に決まった新入生に同情の色を隠せなかった。
そして、一年後

「先輩、体温低すぎ」
「海堂が高いんだって」
「夜中に入ってこられたら寒いんっすよ」
「だって、海堂あったかいんだもん」

俺の布団、冷たいし。

「何してるんすか」

あんたら、公衆の面前で何て話を…

「何って、人間ゆたんぽ」
「先輩、これあげます」
「サンキュ」

桃城の横で、イチャイチャと食べさせあいっこをしてる2人。
これで付き合ってないっていうから、凄いよな…
テニス部員、共通の思いであった。
彼らの関係はテニス部の七不思議のひとつとさえ謳われたようだ。

Fin