乾さんは体温が低く、海堂は逆に高いんです。
なので冬、
「う〜寒っ…」
寒そうに大きな体をちぢこめながら寮に帰ってきた、乾。
「おっ、海堂発見vv」
吹き抜けになってる一階の部屋の前の広い踊り場にある、ソファに座って遊んでいる1年たちの中に海堂の存在をみつけた乾がソファに近づく。
「…乾先輩何やってるんですか?」
海堂の向かいに座っていた桃城がいこちない声で問いかける。
「何って、人間ゆたんぽ」
海堂の近くにきた乾は、後ろから海堂に抱き付いて海堂の服の中に手を入れている。
「俺、寒がりなんだよね」
しかも、末端冷え性だし…
「その点、海堂ってば体温高いから、冬はすっげ重宝する」
「だからって、何も服の中に手突っ込まなくても」
「…服の上からじゃあったくならないでしょ?」
何を言ってんのという感じの乾に、こっちがそういう気分ですといいたい桃城。
「…海堂も何か言えよ」
されるままに乾の膝の上にのっている、海堂に声をかける。
「何かって…?あっ…お帰りなさい」
桃城の言葉に考えて、思い出したように乾に声をかける。
「ん、ただいま」
海堂の頬に口付ける。
「…って、違うだろう!!」
「「何が?」」
ガックリと項垂れる桃城に、全くわかってない乾と海堂。
今日も東雲寮は平和だったとさ
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寮生活をしてると、わびしくなるのが食生活。
朝、昼、晩と同じ味なので、自然とそれに厭きてくる生徒たち。だけでも、中学生な彼らにお金はあまりない。
外で食事など、たまにしか出来ない贅沢を、してみようとする東雲寮の住人たち。
「海堂はどうする?」
部室にて、本日は外食決定にした1年たち。
自主練を終えて入ってきた海堂にも声をかけるが、
「…行かねぇ」
と、かえってくるのはそっけない返事。
だが、まあ皆それは予想済みなことで、
「そっか、じゃあな」
と、お出かけになる。
「でも海堂って、外で食わないけど、飽きなねぇのかな?」
「あんま、興味ねぇんじゃねぇの」
「味覚がおかしのかもよ」
あの、二年の先輩みたいに。
ファミレスに向かいながら、言いたいことを言う1年。
しかし、その事実は
「お帰り、海堂」
「ただいまっす」
既に帰って、寮の部屋の簡易キッチンに立ってる乾。
「いい匂いですね」
部屋に入ったときから、充満する胃を刺激する匂い。
「もうすぐ出来るから、服着替えて待ってな」
「うす」
サクサク服を着替えて、風呂に入ってソファに座る海堂。
「ほら」
ちゃっちゃか料理を作った乾がテーブルにそれを並べる。
「さて、用意も出来たし」
「「頂きます」」
ってなわけで、料理がお上手な乾さんと同室な海堂は乾が料理を作るたびにご相伴にあずかってるので、寮の料理に飽きるとかいうことがなかったのである。
しかも、気に入った人間の面倒はとてもよく見る、この先輩は、散々、海堂を甘やかしてるので、海堂はいたれりつくせりな日々を過ごしていた。
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