Supreme Artist 1



人間とそのほかの種族たちが一緒に生活する世界。
ここの人間たちの中に、術士と呼ばれる人間たちがいる。
その術士とは、竜の力を借りる竜術士、同じように精霊の力を借りる精霊術士・そして、自分の中の魔力を扱う魔術士の三大術士と、それとは全く別の金属から薬を作り出すことのできる、錬金術師だ。
とある、穏やかな国にその四つの術を全て扱える術士がいた。彼女は賢者としてその国の人々に愛されていた。
そんな彼女がある日、近隣の国が魔物に襲われるという噂を聞きつけ、彼女はその国に向いますが、時既に遅しとはこういうことをいうのでしょう。

「こりゃ、ひどいね〜」

その国は既に襲われた後で、街は焼き払われ、全て燃え尽き、人も息絶えた後でした。
それでも、彼女は諦めたりはしません。
誰か一人でも、一匹でも多くの命を救おうと街をさ迷います。

「…シッ」

そのとき、どこからか人の声を感じた彼女は精霊の力を使い、人の気配を探らせます。

「大丈夫かい?」

街のはずれにある井戸の中、奥に続く道に入っていけば、そこには幼い三人の子供。
彼らは彼女に対して警戒をしていて、うちのツンツン頭の格好いい少年が綺麗なサラサラの茶髪の少年とこれまた秀麗な顔の気難しそうな少年を庇うようにしています。
彼女は自分の魔術でもって、井戸の中を照らしだします。

「大丈夫だよ、私は敵じゃない。お前たちを助けにきたんだよ」

暖かな光に照らされ、優しい彼女の微笑をみた彼らは、警戒をといて、彼女に近寄り、しがみついて泣き出しました。

「こわかったんだね。よしよし」

彼女はしゃがんで、三人の子供を優しく抱きとめます。
この国が襲われたとき、どうやらこの国の王子であった少年とその少年の遊び相手として、きていた少年二人を、この国の王様たちはここに隠したのです。せめて、幼い子供たちだけでも助かるようにと…

「そうかい、それは辛かったね」

二人を庇うようにたっていた少年から、話を聞いた賢者は考えます。
これから先、生き残ったこの子たちには、もう家族もいません。
家族も家も全て失ってしまったのです。

「お前たち、私と一緒にくるかい?」

賢者は竜と一緒に暮らしてます。精霊術は召喚術なので一緒に住むことはありませんが、竜は一緒にいないと力を使えないのです。
ですが、彼女には跡取りがいません。
そろそろ、彼女も自分のあとをつげるものを考える必要があったのです。
精霊と竜と賢者の見る限り、この少年たちには素質がありそうなので、彼女は弟子として、彼らを育てようと思ったのです。

「修行は厳しいが、それについてくる気があるなら、私はお前たちを私の跡取りとして育ててやろう」

どうする?
そう聞かれて、少年たちは考えます。

「…行く」

が、答えはすぐに出ました。
彼らは、自分たちの国が滅びる様を見てしまったのです。
死んでいく家族に友、消えていく家…
何の力のない子供たちには、それを見ることしか出来なかった。
目の前で失われていく全てに、彼らはどうずることも出来ずに涙を流してました。
いつか、自分たちの力で…
このとき、彼らは誓ったのです。
いつか、きっと仇をと……
ですので、彼らにとっても彼女の申し出は嬉しいこと。
この世界で頂点と称されてる、隣国の賢者に弟子入りできるのです。
何よりも、強くなる近道だから。
涙を拭いて彼女を見上げる少年たちの目に、迷いはありません。
今日のこの悔しさを胸に、彼らはどんな厳しい修行をも耐えていくことでしょう。

「じゃ、おいで」

強い意志を宿した少年たちの目に、彼女も自分の選択は正しかったのだと判断しました。
彼女の出した手を、少年たちは掴みます。
自分たちの生まれ育った故郷を壊した魔物を、いつか自分たちの手で倒すために。
今、何よりも欲しい、誰にも負けない強さを手に入れるために。
そこに、少年たちの望む未来があった。


その後、この世界の人々を苦しめていた魔物を、三人の術士が倒したという噂が、世界を駆け巡る。
そして、竜術士・手塚、精霊術士・乾、魔術士・不二の三人は、三大術士として世界に名を残すことになる。

Fin