錬金術師と医者の間には密接な関係があります。
医者は患者の容態を見て、薬を処方します。
自分でもある程度の薬を薬草などから作ることは可能だが、錬金術士の作る、薬のほうが効能がある。
だが、錬金術師はその薬を作ることは出来ても、患者を診ることは出来ない。
そのため、医者は患者にあう薬を錬金術師に頼み、錬金術師はそれにあわせて薬を調合する。
そんな関係だ。
さて、三人の少年の師匠である賢者は、錬金術師でもあります。
それゆえ、彼らが住む街の医者が今日も彼女の元に訪れます。
「…あなたの弟子たちは、とても聡明らしいですね」
街で噂になってる、彼女の弟子の話を振る。
「お前のとこの、息子には負けるだろう」
この医者には、少年たちと同年代の息子が一人います。
彼もまた、聡明で優しい性格でこの街の人々に、きっと将来は父親の後を継いで立派な医者になるに違いないと思われています。
「うちは、まだまだですよ」
謙遜する医者に、彼女は何を言ってるんだかという感じで笑います。
「そう言えば、錬金術師の跡継ぎはいないんですか?」
三人の少年は現在、それぞれ師匠に言われたとおりの術士になるべく修行をしてる、彼女が少年たちに告げた術士の中に錬金術師の名はなかった。
医者はそれを心配している。
この国の人々にとって、一番身近な術士、それが錬金術師だからです。
「それなら、心配いらんよ」
医者の言葉に、彼女はゆったりと笑みを浮かべます。
「うちの弟子には、やけに知的好奇心のかたまりのようなのがいるからね」
「修行は終わった?」
賢者と医者が話してる時、庭の木陰で休憩してる少年たちに話しかける、同じ年くらいの少年。
「大石か」
「また、薬の調合?」
「中々、繁盛してるじゃないか」
大石と呼ばれた少年は、話題の医者の息子で、父がここにくるときはいつもついてきていました。
三人の友達にあうために。
「師匠が話中なんで、休憩してるんだよ」
「そっか、ゴメンな」
「お前が謝ることじゃないだろう」
「そうかな」
「そうそう」
「そう言えばさ、父さんが心配してたんだけど」
「??」
「誰も、錬金術師にはならないのか?」
「あぁ、なるほど」
その言葉に、精霊術士の修行をしてる乾が、納得したように頷きます。
「大丈夫だよ、大石」
心配そうな大石に、笑いかけるのは、魔術師見習いの不二。
「それなら、乾が修行してる」
種明かしをしてくれるのは、竜術士予定の手塚でした。
「乾が?」
驚いたように乾を見る大石。
「俺は、ああいうの結構好きだからな」
「乾は気になったもんは、自分が満足するまでしなきゃ気がすまないから」
「知的好奇心のかたまりだからな」
「そっか、それじゃ未来の錬金術師さん、よろしく」
いつもの爽やかな笑顔でそう言う大石に
「こちらこそ、未来のお医者様、よろしく」
乾もおどけたように頭をさげた。
そして、
「薫君、乾いる?」
父の後をついで、医者になった大石。
「かおちゃん、元気?」
ふとしたきっかけで、世話することになった妖精族の英二とともに暮らしている。
「元気っす。マスターは部屋にいます」
乾のために、作った畑と家畜の世話をしていた薫が二人を家に招きいれる。
「マスター、大石さんです」
「うん、有難う」
仕事部屋で小人とともに調合中の乾が薫の声に振り返り、二人に軽く手をあげる。
「悪いね、仕事中」
「構わないよ、一息つこうと思ってたところだし」
仕事だろ?
「そうなんだ、ちょっと容態の思わしくない患者がいてさ」
「どんな感じ?」
「実は…」
先代たちに劣らないだけの実力をつけた二人は、たくさんの病気の人たちを救っていった。
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