子供は三人。
男の子一人に女の子二人。
一姫二太郎とは違ったけど、そろって可愛いし「お父さん大好き」と言ってくれる自慢の子供だ。
それでも、それでも…
決して子供が嫌いじゃないんだが……
もう一人って言われてもな……
「父さん、母さん」
「リョーコ、どうしたの?」
おいで、リョーコ。何か欲しいのか?
「うん」
そうか何が欲しい?
「普通の弟か妹」
「ふ、普通の…?」
「弟か妹が欲しいの?」
「うん、兄さんや姉さんみたいな特殊な人物じゃない、極普通の弟か妹が欲しいの」
リョーコも特殊な部類に入るんじゃないかな…
言わないけど…
それにしても困った。
「こればかりは、欲しいと言われて何とかならないよね」
「まあな」
それも、弟妹なら誰もいいというんじゃなくて、極普通のという注文があるからな。
今まで生まれた三人が揃って特殊で、普通とは程遠い子供たちだっただけに、普通の子供は難しいんじゃないかな…
「ダメ?」
うーん、何と言うか……
ダメとか、そういう問題じゃなくて……
「普通とか関係なく、弟か妹ならまだ……」
頑張れば出来なくもないだろうけどな。
「普通がいいの、兄さんや姉さんのような弟妹は要らないの」
無茶だよ、リョーコ
「どんな子かは、生まれてみないと分からないからな」
それに、後天的に出来る性格もあるしな。
お前たちに育てられたら、間違いなく普通の子であっても何かしたの特殊さは持ちかねないような気がするんだ、俺は。
「何とかして」
「リョーコ、何とかしてやりたいが、こればかりは…」
無理だ、どんなにデーターをはじき出しても、普通の子が生まれ育つ確率は限りなく0%に近い。
「ゴメンね」
「リョーコ、普通の弟と妹は難しい変わりに、動物飼うか?」
「本当?いいの?」
「お兄ちゃん?」
「いいよ、但し。リョーコがキチンと世話をするんだぞ」
「うん、有難うお父さん。大好き」
チュッ
俺も好きだよ。
やぱり、可愛い娘の悲しむ顔は見たくないからな。
「お兄ちゃん」
「薫?」
「そんな簡単に言うことじゃないでしょ」
うん、薫も母親らしくなったね。
昔なら、一緒に喜んでただろう。
「動物の世話がどれだけ大変かとか、もうわかってるもの」
「そうだよな、薫もお母さんだもんな」
「そうよ。お兄ちゃんの奥さんなんだから」
「そうだな。じゃあ、薫」
夫婦なのにお兄ちゃんはおかしいよな?
「だって…」
「そろそろ、お兄ちゃんは止めようか?」
「そんな…何て…」
「名前でも、アナタでも好きなように」
奥さんらしく、俺を呼んでくれたらいいさ。
「無理だよ」
「やってみないとわからないだろう」
「え?」
幸い、ここは寝室で、目の前には二人で寝るベッドもある。
子供たちは子供部屋で寝始めてるだろうしね。
「ちょ、ちょっとお兄ちゃん?」
「リョーコのお願い、聞いてあげようか?」
0って決まったわけじゃないんだしさ。
コンマの世界かも知れないけど、試してみてもいいかもね。
「で、でも…もし…」
特殊な子であっても、俺たちの可愛い子供には変わりないだろ?
「そ、そうだけど…」
「薫がお兄ちゃんって呼ぶのを止めたら、止めてあげるよ」
まあ、無理だろうけどね…
じゃあ、まあ可愛い愛娘のために、いっちょ頑張りますか。
「もう…ん…」
「さて、どの動物にする?」
「私、猫がいい」
猫か、そうだな猫なら散歩に連れて行く必要ないし、いいかもしれないな。
それに薫も猫が大好きだから、反対出来ないだろう。
「私、コレ」
「ダメだ」
「どうして?」
「今日はリョーコの選んだ動物を買いに来たんだからな」
それに、それにな…
俺は犬か猫をと思って来たんだ、決して爬虫類を買いに来たわけじゃない。
だから、そんな嬉しそうに大蛇を首に巻きつけて近づくな。
絶対に買わないからな。
「周、蛇なら既に家にいるだろ」
く、国光…お前、いきなり何を…
「国光、家のどこに蛇がいるのかな?」
薫、落ち着け、落ち着こうな
国光だって、悪気があるわけじゃないんだよ。
「目の前に」
悪気はないんだ…
それが禁句だってことを、本気でわかってないんだよ。
何故かはわからないけどね…
「ともかく、周はそれを返してきなさい」
これ以上、ここを異様な雰囲気のままにしておきたくはないんだよ俺も。
「はーい」
「リョーコ、どれにするか決めたか?」
「これがいい」
ヒマラヤンか、うん中々、可愛いじゃないか。
「薫、リョーコはこの猫が気に入ったみたいだけど、薫はどうだ?」
「……か、可愛い」
はぁ、よかった。
薫の意識が猫に向いてくれたおかげで、何とか危機を脱したよ。
国光は、相変わらず状況がわかってなかったみたいだけどな。
「二人とも気に入ったみたいだし、それにするか」
「「うん」」
嬉しそうに瞳を輝かせて、可愛いな…
「決まったの?」
「うん、この猫にするの」
「へー、ムクムクしてて可愛いね」
「でしょう」
「うん、それに美味しそう」
「「「え?」」」
周、猫を食べようとするな。
味覚破壊以前の問題だと、今の言葉は。
見てみろ、薫とリョーコが猫を抱き締めて、威嚇してるじゃないか。
猫は猫で、危険を察知したのか怯えているし。
「食べれるのか?」
「犬が食べれるんだから、猫だって食べれるよきっと」
「「「食べれません!」」」
そして国光、周の言葉を本気で取るな。
お前らが猫を食べると言い出したら、俺は親を止めるぞ。
「そうか…」
「残念」
何が?何が残念なんだ、周?
「何でもないよ、お父さん」
何でもなくない、絶対に何でもなくないだろ。
そういう時のお前は絶対に何でもなくないんだ。
何で、こんな子に育ったんだろう。
俺、今凄い泣きたい気分だよ。
早く買って、家に帰ろう。
疲れた心は、リョーコと薫の嬉しそうに猫と戯れる姿で癒すことにするよ。
……癒す?癒せる?
「カルピンは私の猫なんだから、お母さんは触っちゃダメー」
「何でよ、私だって抱っこしたーい」
ごめん薫。
すっかり失念していたよ、君が無類の猫好きだって。
これは予測できる範囲の状況だったってのに、よっぽど疲れていたんだな俺は。
「お父さん、母さんがカルピンを離さないのー」
「お兄ちゃん、リョーコがいじめるー」
「ほぁらー」
「カルピンはお父さんが一番みたいね」
「この世で、父さん以上の人なんて有得ないだろ」
「お父さん、ずるい」
「ずるいわ、お兄ちゃん」
……俺が悪いのか?
お前たちが、取り合いしているからカルピンも逃げてきたんだろ。
俺が文句を言われるところじゃないじ、絶対。
前言撤回
やっぱり、これ以上はいらない
こんなのがこれ以上増えたら、俺は耐えれない
それに…
薫もまだまだ手がかかるし…
俺には既に子供が四人いるようだからな。
それだけで手一杯だ。
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