朝練の時から、具合の悪そうだった乾。
その乾が保健室で寝ているということを聞いて、昼休みと同時に海堂は保健室に向った。
「失礼します」
保健室のドアを静かに開いて、顔を覗かせるが、そこには誰もいなくて、海堂はそーっと足音を忍ばせて中に入っていった。
保健室のドアを後ろ手に閉じて、鍵を締める。
カーテンに引かれたベッドが一つと、後はカーテンが引かれてない空白のベッド。
迷うことなく、カーテンの向こうへ向う海堂。
「先輩…」
小さな声で呼んで、中に入るが、乾はすっかりと寝入っていた。
「また、寝てないんだ」
自分が来ても気付かずに寝てる乾に、海堂はそっと溜息を吐く。
目の前の乾は眼鏡を外していて、目の下にはうっすらだが隈が出来始めていた。
ただでさえ、白い顔は青白くなっていて、どう見ても、体調の悪さを物語っていた。
それなのに、この乾は平気で無茶を通す。
海堂はそれがたまらなく心配で嫌いだった。
「もう…心配させないでよ…」
ペチペチと恨み言とともに、軽く乾の額を叩く。
「ん…なに…」
ふるっと乾の瞼が震える。
そろそろと目を開く乾。
海堂はそれをじっと見つめている
「…薫?」
「大丈夫ですか?」
心配そうに乾を覗き込む海堂に気付いた乾が声をかける。
「うん、大丈夫だよ。ただの寝不足だから」
「熱は?」
安心させるように笑う乾に、海堂はそれでも不安そうに額をくっつけて熱を計る。
「…ない…」
ふぅっと安心したように息を吐き出しながら、海堂が呟く。
「薫…」
「んっ…んん…」
息がかかる距離にいたからか、乾がその息を絡め取るように唇を触れ合わせる。
口内に侵入して舌を絡めて、海堂の熱を呼び覚まそうとする。
「ふくぅっ…んぅ……」
海堂の首に片手をまわして、逃げれないように固定する。
もう片方の手を、スカートの中へと忍ばせる。
「やっ…せ…っぱい…」
下着の上から、微妙なタッチでなぞるように触られて、海堂の口から甘い声が零れる。
「だれ…か、くるぅ…」
「こないよ、今日は保健の先生は休みだし…」
手は下着の上から快楽を誘い出すように動かしたまま、離した唇を耳に持っていき、耳を愛撫する。
「鍵、閉めたでしょ」
「ひぃやぁ……」
掠れた、いつもよりも低い甘い声で、耳を擽る。
「震えてる…」
クスクスとわざと耳元で笑いながら、ガクガクと震え始めた海堂を揶揄する。
「あっ…あ…ん…もっ…」
「も?立ってられない?」
乾の体にしがみついて耐える海堂に、乾がわざと耳を甘噛みしながらたずねる。
ピクンと背を反らせて、耳へされた快楽をやり過ごし、海堂は首をガクガクと縦に振る。
「おいで」
乾に促されるままに、海堂がベッドの上に乗り上げる。
後は、乾の望むままに。
「すっきりした」
たっぷりと睡眠をとって、美味しく恋人を頂いた乾は満足そうに隣で拗ねる海堂を見る。
「学校は嫌っていった」
「ゴメン、起きたら目の前に薫の顔があったから、つい」
「ついで、しないで」
「う〜ん、寝起きは自信ないゴメン」
「もう…、学校で寝ないで…」
乾の言葉に不満そうに口を尖らせる海堂。
乾の寝起きの悪さは有名だ。
あまり、相手を見ずに襲いかけることもしばしばだと先輩たちに聞いてる。
今日は自分だから、自分が恥ずかしいだけだったけど、もしこれが…
自分以外の人にも同じようにされたらと思うと、物凄く嫌だった。
「いくら寝起きが悪くても、私以外の人にはしないで…」
「しないよ。薫だから起きてすぐ発情したんだし」
「私だから?」
「そうだよ」
「寝ぼけてたんじゃなくて?」
「寝ぼけてても、薫とそれ以外の人の区別はつくよ」
海堂の言葉に微苦笑で応える乾。
「それならいい、許す」
「有難う」
「でも、本当に私以外の人とはしないで」
「当たり前でしょ、薫でないと発情しないよ、俺」
「なるべく、学校はやめて」
「善処します」
黙々と制服を着ていた海堂は、乾の言葉に微笑んで、そのまま乾の寝るベッドに潜り込んで疲れた体を休めるために、眠りに入った。
「薫?」
「疲れた、部活始まる前に起して」
「わかった、お休み」
「うん、だから枕」
眠そうに目を擦って、ポフポフと自分の頭の下あたりのシーツを叩く。
「はいはい」
意味がわかった乾は、苦笑混じりに寝転んで、海堂が寝てるほうへ腕を伸ばす。
「ずっと…ね、ずっと…」
乾の腕を首の下に敷いて、海堂は乾の腕に触れる。
「この腕は、ずっと私のものでいいんだよね」
「うん、俺はずっと薫のものだよ」
乾の言葉に安心したように笑って、海堂はすっと意識を飛ばした。
「勿論、薫もずっと俺のものだけどね」
そう囁いて、乾もまた、眠りへと誘われた。
そのまま、二人が部活に間に合わなかったとか、一緒に寝てるのを不二にバレたとか…
真実は神のみぞしる。
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