はじめまして  <モノカキさんに30のお題 01 for girls>



「今年の一年は元気がいいな〜」
「入部初日に喧嘩するなんて珍しいよね」
「お前ら、少しは止めようという気はないのか」
「「そういう手塚だって」」

乾・不二・手塚の3人はフェンスに凭れかかって話している。
その視線の先では、入ったばかりの一年生が喧嘩をしている。
河村と大石が止めに入っているなか、3人はのんびりと話していた。

「にゃ、にゃぁにゃぁ…あっこで喧嘩してる子、一人は女の子じゃにゃい?」

仲裁ではなく、野次に行っていた菊丸が戻ってきて、喧嘩してるうちの一人を指す。

「え?ああ、本当だね。よく見たら、ブルマだね」
「女だったのか…。乾、どうしてココに女子がいるんだ?」
「「手塚…」」
「突っ込みは不二と菊丸に任せるとして、手塚、あの子は今年入ったうちのマネージャーの海堂だ」

ペラペラとノートを捲くりながら説明する乾に、なるほどと頷く手塚。

「女の子なのに、強いにゃ〜」
「本当だね。大石もタカさんも止めれないもの」
「喧嘩相手のほうが怪我はひどいんじゃないのか?」
「手塚、喧嘩相手は桃城だ。ついでに覚えていてくれ」
「無理だ!」
「そこ、言い切るとこ違う」
「乾、止めにいってあげたら」
「どうしてそこで俺なんだ?」
「乾だったら、海堂って呼ぶだけで止めれるにゃ」
「無茶だろう」
「「大丈夫」」
「よし、やってみろ乾」
「手塚」
「あれ以上、大石と河村と…あと…ともかく、危険だ」
「わかったよ」

訳の分からない自信で持って、乾を推す不二と菊丸。
手塚は言ったばかりの桃城の名前を既に忘れている。
3人に手を振られた乾は、向こうで助けてビームを出し始めた大石・河村を確認してから、仕方なさそうに喧嘩の仲裁に入る。
喧嘩の状況は女子マネの海堂のほうが優勢だ。
誰かのラケットを握って、桃城に挑む海堂と逃げる桃城。

「普通は逆だろう…今の世の中、どっか間違っているよな」

その様子を眺めながら、乾が溜息とともに吐き出した。

「おっと、初日そうそうから喧嘩はちょっといただけないな」

海堂が振り下ろしたラケットを桃城に直撃する直前で片手で止めた乾が、海堂に向かって苦笑混じりに声を出す。

「あっ、乾先輩」
「名前覚えてくれたんだ有難う」
「いえ…その…」
「ラケット振るのは危ないから止めような」
「はい」
「ヒッ」

乾の言葉にパッとラケットを元の持ち主に向かって放り投げる海堂。

「海堂、投げるのも危ないから」
「スミマセン」
「次からは気をつけような」
「はい」

乾の言葉には素直に返事する海堂。

「乾先輩、こいつひどいと思いません」
「桃城。お前も女の子相手に本気で喧嘩するなよ」
「先輩、こいつをそこらの女子と一緒にするのが間違ってるっすよ」
「まあ、ちょっと元気だけど」
「ちょっとじゃないっすよ。見てくださいよコレ」

そう言って桃城が差し出した手には、たくさんの痣や傷があった。

「これは手当てしたほうがよさそうだな」
「先輩、海堂は止めてくださいよ」
「何でだ?マネージャーなんだから…」
「その海堂にやられたんっすよ!」
「それもそうか。大石、悪いけど桃城の奴を保健室に連れていってくれないか」
「あ、ああ」

乾の言葉に従って、大石は桃城を連れて保健室に行った。

「さっすが、乾。一発で止めたにゃ」
「これからは喧嘩の仲裁は全部乾がやったら」
「止めてくれ」
「いい考えだな」
「手塚、もうお前の手伝いは一切せんぞ」
「それは困る」

さっきまでずっと傍観を決め込んでいた3人が終った途端、乾に絡み出す。

「あ、あの…」
「ん?」
「薫ちゃん、頑張れ」
「海堂、ファイト」
「乾先輩」
「はい?」
「初めまして、海堂 薫って言います」
「?ああ、そういや挨拶はしてなかったかな。初めまして、乾です」
「中々、礼儀正しいようだな」
「「手塚は黙って!!」」
「あの…」
「何?」
「初めて見た日から、好きでした!付き合ってください!」
「はい…って、ええ!!」
「薫ちゃん、偉い」
「頑張ったね、海堂」
「はい、私、凄い嬉しいです」
「え?え?手塚?」
「はいと返事した以上、キチンと付き合え」
「ええ?え?」
「乾にもとうとう彼女誕生か」
「今までみたいに、遊びじゃダメだよ乾」
「うちの部の者と付き合う以上、真剣に付き合うんだぞ」
「お、おい…」
「先輩、私、頑張りますから」
「あ、ああ」

既に後には引けない状況に、乾は困ったまま、それでも今の発言を取り消すことは不可能だと悟った。

これが乾と海堂のはじめましての物語。
さて、この二人がキチンとお付き合いできるようになるかは、神のみぞ知る。

Fin