ザーッ
時間が経つにつれ激しくなる雨音
濡れたジャージを脱ぎ捨てて、制服に着替える
雨脚は弱くなる気配を見せない
「どうしよっか」
「傘、あるっすよ?」
問うた声に返されたのは不思議そうな声
「折りたたみだろ。この雨に折りたたみ傘で男二人は無理だな」
「あ…」
小さな折りたたみではお互い濡れネズミになるのは予想がつく
頑張ってる恋人にこんな理由で風邪を引かせるわけにもいかない
「持ってない俺が悪いから、海堂は先に帰っていいよ」
「でも…」
折りたたみを手持ち無沙汰にぶらぶらさせて戸惑う声をあげる
「先輩は、どうするんっすか?」
「いずれ止むだろうし、それまで待ってるよ」
ベンチに腰をかけて、カバンからノートを取り出して、俺は1人でも問題なんだというとこを見せる
しばらく視線を彷徨わせて悩んでいたようだった海堂は、何かを決意したのか折りたたみをカバンにしまって、俺の隣に腰をかけた
「帰らないの?」
「寒い…」
俺からノートを取り上げて、俺のカバンに勝手にしまう
そして、おもむろに俺の体に体重をかけてくる
くっついた部分から確かに海堂が微かに震えているのがわかる
そして、自分も海堂の体温を感じて寒かったのだと自覚した
雨に打たれた体は熱を失っていてこのままなら風邪を引いてしまう
「薫…」
「……」
「暖かくなることしようか」
その返事はなく、変わりに冷え切った唇が触れてきた
強くなる雨脚
響く雨のうつ音
暗闇と雨の音しかしない世界で
熱を交換しあった
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