―好き―
言葉にすれば簡単なのに、その想いは、そんな言葉では言い表せないほど深く、どうしたらあなたに上手く伝えることが出来ますか?
夜、どうしてだかぽっかりと目が覚める時がある。
何か物音がしたとか、眠れなかったとかいうのではなく、不意にはっきりと意識が覚醒する。
こんな夜は、寝ようと思っても眠れるものでもないから、隣で眠る彼を眠くなるまで見つめ続ける。
ほっとくと、いつまでも起き続ける。
人間の三大欲求すら、彼の好奇心・集中力の前ではどこかに行ってしまう。
一緒に寝ていたと思っても、気がつけば一人パソコンに向っているとかしょっちゅうで、その度に、怒る俺がどれだけ心配しているのか、この人は本当にわかっているのだろうか?
万年寝不足のせいで、低体温な人。
そおっと、起さないように彼の頬に手を滑らせる。
「スキ」
たった二文字。
そこに、自分の想いを全て込めて声に出す。
けれど、その想いのどこまでを相手は感じ取れるんだろうか。
「アイシテマス」
スキより上の、愛の言葉。
それでも足りない。
スキやアイシテルでは言い表せないほど、大切な人。
どうしたら伝えられますか?
どうしたら、この自分の中に溢れる想いの全てをあなたに分かって貰えますか?
肌を通して伝わる体温。
トクン・トクンと生きていると奏でるリズム。
手で触れて、それだけでは足りなくて、耳を胸にくっつけて。
何よりも、この人が生きている証。
ここに存在している実感。
「先輩…」
初めて人を想うことを教えてくれた人。
「乾、先輩…」
誰よりも愛しい人。
「貞治…」
最初で最後の人。
「スキ」
こんな俺を好きだと言ってくれる。
愛してくれる。
傍にいてくれて、いることを許してくれる。
あなたがくれた、たくさんのもの。
とっても、とっても感謝しているのに、それを伝える術も知らない。
心の中にある、たくさんの有難う。
留まることをしらない、たくさんのアイシテル。
少しずつでも、伝えていくから。
わかってくれないなら、わかってくれるまで何度でも伝えるから。
だから、俺をあなたの傍にいさせてください。
「アイシテル」
そうあなたに伝える時、涙が零れそうになるのを、あなたは知っていますか?
あなたを想うと、知らず涙が零れます。
ほら、今も……
人を深く想うことで、涙が出ることを知った、優しい夜。
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