色とりどりの綺麗なカレー
さてはて、本日の哀れな犠牲者は……
「何で、そんな約束するんですか」
やっぱり、拗ねるか…
したくてしたわけじゃないんだけどね…うん…決して、自分の好奇心を満たしたくて約束したわけじゃないんだよ。
「思いっきり、好奇心だろうが」
やっぱり、君は騙されてくれないんだね。
でもね、薫。
「何っすか?」
氷帝の味覚データーも取って見たくない?
「ない」
にべもないね。
本当に拗ねた時の君は、とっても可愛くて、とっても扱いにくい。
まあ、それを攻略するのも、一つの楽しみなんだけどね。
「カレー作るつもりなんだよ」
「カレー…ってもしかして…」
うん、中々いい勘してるね。
予測通りだよ。
「カレーはやはり煮込みが命だからね。是非とも、薫にも泊りがけで手伝って欲しいんだ」
「泊まり?」
「勿論。それで明日は、とびっきりのカレーをご馳走するよ」
「それは…いいっす」
ん?薫にしては珍しいね?
俺の料理を拒むなんて……ん?あれ?あれ?
「ああ、大丈夫だよ。薫にご馳走するのは、大元のカレーだから」
「それなら、食べます」
当たり前だろ、部活やゲームの罰ゲームとかじゃないのに、薫が嫌がるものを飲ませたりはしないよ。
え?何、それ以外でも飲ませないで欲しいって?
ごめんね、それは無理。
だってさ、君だけ贔屓しちゃ煩いでしょ。
英二や桃城がね
「さ、じゃ帰ろうか」
「っす」
お持ち帰り決定。
今日のお遊びは新婚さんゴッコっというとこかな。
「先輩もルーから手作りなんですね」
「もってことは、穂摘さんもルーから作ってるのかな?」
「っす」
「そっか、じゃあ一度、お邪魔して…」
「来るな!!」
お邪魔して、是非とも穂摘さんお手製のルーを味わって見たかったんだが…
本当ににべもない。
そんなに俺がお前の家族と仲良くするのは嫌か?
俺は将来のことを思って、こんなに頑張ってお前の家族と仲良くしているというのに。
「アンタのは仲良くしすぎなんです!!」
「そうか?」
「俺ん家に来たら、ずっと俺の家族とばっか一緒で、俺のことなんかほっとくじゃないですか!!」
ああ、ヤキモチか。可愛いな〜
でもな、自分の家族に妬かなくてもと思うんだが?
俺はお前が俺の両親と仲良くしてくれると嬉しいぞ?
「だからアンタのは仲良くしすぎだって言ってんだろ!!」
真っ赤な顔して怒らなくても…その顔も可愛いから許すけど。
それにしても、薫って変なとこで器用だよね。
真っ赤な顔で怒鳴りながらも、手は一定のリズムと感覚でカレーの具を切っていってるんだから。
少しは、性格にもいかせたらいいのに…
いや、不器用なこの性格も可愛いから、俺としてはこのままがいいけど。
「先輩だって、こっち見ながら炒めてるじゃないですか」
ん?俺はね、ちゃんと火加減も時間もばっちりだからね。
目を瞑ったって、出来るよ。
「うーん、いい匂い」
「同じ匂いでしょう」
そうだけどね…
一応、このシャンプーとリンスは薫の髪に一番あってるものなんだよ。
ちゃんと成分から匂いまで全てリークして買ってきた、一品なんだからさ、薫の髪からの匂いがよりいい匂いなんだよ。
他にも、菊丸・不二・手塚にも同じように専用があるけどね。
そろそろ越前のも増えそうだよ。
俺、将来、美容師になるってのもありかな?
「ならなくていい」
「そう?」
「俺専属になってもらうんで、金になりません」
「それもそうだな」
可愛いねー、全く。
いっつも恥ずかしがって真っ赤になって、俯きながら言うくせに、こうやって素でそんあ時よりも何倍も恥ずかしい台詞を言えるんだからさ。
それにしても、いい手つきだよね。
「いいお嫁さんになれるよ」
「旦那より、出来ない嫁にはなりたくねぇ」
「お嫁さんに来てくれるんだ」
「アンタより、料理の腕が上がったらな」
それじゃすぐだね。
「なわけあるか」
アンタ自分の料理の腕を謙遜しすぎだってさ
普通だと思うんだけどね。
薫は穂摘さんの息子だし、料理の腕もすぐに上達して、簡単に俺なんか追い越せちゃうと思うよ。
「ありえねぇ」
「それじゃ、お嫁さんにきて貰えないでしょ」
「そしたら、アンタが婿に来い」
あ、ゴメン…
今の、ツボに入ったよ。
クリティカルヒットってやつ。
「ははははははははははははーーーーーーーー」
「何で、そこで笑うんだよ!!」
だから、ゴメンって
どうしようか、凄い嬉しいんだけど。
これってプロポーズ?そう受け取っていいよね。
「アンタが先にしたんだろうが」
ということは、認めてくれるんだ。
ゴメン、またクリティカルだよ。
薫、今度ロープレしてみなよ。
クリティカル連発で、メキメキレベル上げれるよきっと。
「何の話だよ、一体」
「ああ、笑った…」
「笑うな」
「ごめん」
「ったく、焦げてもしらねぇからな」
あ、止めてくれてたんだ、優しいね。
しっかり、そういうとこにも目が利くし、本当、いいお嫁さん貰ったよ。
ああ、しっかr薫のほうは進んでるね、もうお湯をはって具を煮込んでるし…
さて、俺もスピードを進めますか。
「じゃあ、後は弱火で…」
「っす」
これでひとます、カレーは置いておいて、テイクアウトの品でも頂きますか。
ね、薫。
「来たでー、ハル」
「邪魔する」
やあ、よくきたね侑に氷帝レギュラーの皆。
そして、何でいるのかわかんないけど…不二と手塚
「嫌な予感がしてな。来てみれば大当たりだったわけだ」
「どういう意味や」
「そのままの意味だ」
「僕はさ、面白そうなことをやってるって聞いて」
一体誰に聞いたんだ、不二?
手塚も、侑が係わると不二並の非凡さを発揮するよな。
いやまあ、常々充分非凡だとは思っているけどさ。
人を超えるのは、友達としてどうかと思うぞ。
「まあ、入ってよ」
君たちは、俺の大事な被験者たち。
取り合えずは、丁重におもてなしをするよ。
「さ、これを引いてくれるかな?」
「何やコレ?」
「何かのゲームですか?」
いい事を言うね、鳳君。
一種のゲームだよ、これも。
愉しいのは俺だけかもしれないけどね。
「俺、赤ー」
「僕も赤だね」
「俺もや」
はいはい、向日に不二、侑は赤ね。
それにしても不二、いつ俺が君にも引けと言った?
「ダメだった?」
「いや、いいけどな」
手塚も引く気らしいし。
黄色を一本だけ入れてたんだけど、あいつのクジ運は大したものだ。
きっちり、当たりを引きやがった。
少しだけ、青酢カレーを食べる手塚を見たかったのに。
「乾、今何か企んでなかったか?」
「いや、何も」
本当に、たまに人を超えるよなお前。
人を超えるのは、不二だけでも手に余るんだからさ、止めてくれないか。
「緑ですね、野菜カレーかなんかですかね?」
「そんなとこじゃねーの」
「緑です」
遠からずも近からずってとこかな。
間にもう一文字入るんだけどね。
緑は、鳳君に穴戸・日吉君ね。
「青だ」
「ウス」
「zzzzzzzzzzzzz……」
うーん、いい人選だ。
クジだというのに、いい感じじゃないか。
青に跡部・樺地君・芥川か。
それにしても、芥川は寝たまま食べるんだろうか?
うん、興味深い。
「じゃあ、持ってくるよ」
「手伝うか?」
「いいよ、海堂もいるから」
「いるのか?」
「ああ、俺の変わりに最後の仕上げをしてくれてるよ」
ちょっと心配だな。
匂いはないから大丈夫だろうけど、実際にあいつは味を知ってるしな……
うっかり思い出して、気分が悪くなってなければいいんだけどな。
悪阻とかで気分悪くなるのは、全然構わないけど。
「先輩、いい加減変わってください」
ああ、やっぱり大丈夫じゃないか。
はいはい、すぐ行くから。
悪阻になったら教えるんだよ。
「なるか!!」
ならないか、残念。
わかってるけど、はっきり言われると少し哀しいよ。
「それより、早く持って行きましょう」
そうだね、早くデーターも取りたいしね。
「俺は早く終らせて、2人になりたいだけです」
そうだね、それも重要だ。
よし、早く終らせようか。
「はい、お待たせ」
「うっ、赤い、カレーが赤いよー」
「何や、激辛カレーか?」
「僕、前は緑だったんだよね、楽しみ」
「やっぱり野菜カレーですかね?」
「それにしちゃ、緑過ぎねーか?」
「真緑…」
「青いカレーってのは初めて見るな」
「うす」
「zzzzzzzzzzzzz……」
「普通のカレーだな」
「っす、普通っす」
皆、言いたいこといって、ほら早く食べてよ。
俺の手が早く、データーを書きたいってウズウズしてるんだからさ。
「さあ、どうぞ」
「頂きます」
やっとで氷帝の味覚データーが…
「うん、美味しい」
「美味いな」
「美味いっす」
有難う、不二に手塚・海堂。
でもな、お前らの感想はいらないから。
氷帝の味覚データーがいるんだよ。
「グェっ…」
「な、何やこれ」
「げ、激マズじゃねーか」
「うぅっ…」
「グワッ!!」
ふむ、侑に向日・穴戸・鳳君・日吉君は味覚は普通と……
全員、台所に駆け出していったな
でも、うちのメンバーよりは騒ぎが大人しい。
流石は氷帝というとこか
そういえば、青酢カレー組はどうなってるんだ?
「色はアレだが、味は美味いじゃねーか。なあ、樺地」
「ウス」
「zzzzzzzzzzz……モグモグ……zzzzzzzzzzzz…」
おかしいな
確かにボーリングの一件で味の調整はしたが、とはいえ、他の二つ以上の味なはずなんだが……
全員揃って凄い味覚なのか?
それとも、まともな味になったんだろうか?
「あー、クソ不味かったー」
「跡部たちのが当たりかよ」
「慈郎、俺にも頂戴」
「うーん…zzzzzzzzzzzzzzzzz……」
「……ウギャー…」
「岳人?どないしたんや?」
「おい、大丈夫か?」
「水、水持ってきます」
ふむ、やはり味はアレ以上ということだな。
となると…
跡部は不二を超える味覚破壊の持ち主。
樺地君は、食べれる物なら味など二の次。
芥川は、寝ながら食べる器用さから、味は少しも気にならないと……
うん、いいデーターが取れた。
「お前ら、よく平気で食えるな?」
「美味しいけど?それに、あっちの三人のほうが凄いでしょ」
「あいつらは、人ちゃうからな」
「でも、海堂君と手塚さんのは普通のカレーっぽいですよね」
「普通だ」
「乾特製の、絶品のカレーだ」
「おい、ちょっと待て…」
「何で、わざわざ普通のがあるのに、こんなん食わせるんだよ」
「データー採集かな」
「こんなの、データー取って何になるんだ?」
「色々と…」
「って?」
「ま、気にしない。それより、口直しに普通のカレーでも食べるか?」
「本当に美味いんだろうな?」
「薫、一口あげて」
「っち。ほらよ」
「うん…ん?うめぇじゃねーか」
「それはよかった。で、どうする?」
「貰う」
「俺も」
「俺も頂きます」
「同じく」
「ハルの特製や、貰わんわけないやろ」
「貴様は食うな」
「何やと、手塚」
「ふん、乾が折角作ったものを残している貴様に、他の物を食す資格などない」
「じゃあなんや、お前やったら食べるっちゅうんやな!!」
「当たり前だ」
「じゃあ、食べてもらおうやないか」
「なら、2人で食べなよ」
「「不二!!」」
「競争したらどう?で、先に食べきったほういんは、乾特製のデザートとか」
「ああ、いいなそれ」
「乾もそう思うでしょ」
「ああ、是非やって欲しいな」
そうしたら、青酢カレーを食べる手塚と侑のデーターが取れる。
よりにもよって、青酢カレーは味覚破壊組にばっか渡ってしまっていて、基本データーが取れなくて困っていたんだよな。
「わかって、乾が是非にと言うなら仕方がない」
「任しときや、ハル。お前の特製デザートは俺のもんや」
「そうか、じゃあ今すぐ新しいカレーを持ってくるからな」
やった、やったぞ。
これで欲しかったデーターが全て揃う。
またあいつら騙して、取り直しかと諦めてたけど、これで完璧だ。
「お待たせ」
「乾…コレは…」
「さっきのとちゃう色やけど?」
「ああ、どうせ勝負するならどっちも食べたことないほうがいいと思ったんだよ」
「そうかもしれんけど…」
「乾、青酢は不二すらが倒れたと聞いているが?」
「ああ、その後、ちゃんと味覚調整してるから大丈夫だ」
「えー?あれ、味覚調整してたのかー?」
煩いよ、向日。
侑も手塚も食べる気が失せ始めてるじゃないか。
ここでやっぱり止めたといわれたら…
俺の完璧なデーターはどうなるんだ!?
それだけは絶対に阻止しなければ
「それとも…俺の作ったカレーは食べられないか?」
「そんなことはない」
「ハルが作ったもんなら、何でも食べたるわ」
「「頂きます」」
ちょろいな。
さあ、ゆっくりとデーターを取らせてもらおう。
「あいつらバカだろ」
「穴戸さん、ダメですよ。そこまでいっちゃ…」
「あーこれ美味い、最高」
「料理で下克上…?」
穴戸、言いえてすぎる。
バカほど扱いやすいものはないだろう?
「クッ…」
「何や、手塚、もうギブアップか?」
「ふ、お前こそ、それだけ冷や汗掻いていて、もう限界なんだろう」
「んなわけあるかい」
「へぇ、頑張るね」
「折角の休みが……」
手塚も侑も頑張るな。
この調子じゃ完食かな?
「食べたぞ…」
「俺もや…」
「凄い、2人とも同時だね」
「乾、俺のためだけの特製デザートを…」
「ハルが俺のためだけに作ったデザート…」
生きてるか?
ダメっぽそうだな。
仕方ない、この特製デザートはどうしようかな?
「海堂、あいつらの変わりに食べる」
「っす」
「鳳君、こいつら客間に運ぶから手伝ってくれる」
「はい」
これでよし、リビングに転がしておいても邪魔だからな。
「さあ、特製は一つだけど、普通のデザートは食べるかい?」
「頂きます」
「俺もー」
「俺もだ」
「ウス」
「zzzzzz…」
「貰う」
「食べるぞ」
「僕もね」
ふむ、やはり飴と鞭は使いようだな。
これは氷帝相手でも有効だと、ノートに書いておかないとな。
今日はいいデーターが取れた。
さてはて、本日の犠牲者…
手塚 国光・忍足 侑士
現在も客間のベッドに沈没中
次の犠牲者は…?
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