Stuffed toy



ネット通販
色々と実際に買いに行くには問題もあるものとかを買うのに都合が良く、乾は色々と愛用している。

「うん?これは…」

通販ページを見て回る乾の視界を、とある商品が掠める。

「これはかなり、いいかもな…」

それを手にする恋人を思い浮べて、乾はそそくさとそれを購入した。


「お邪魔します」
「はい、いらっしゃい」

通販で購入した品物が届いた次の休日の前日。
乾は海堂を誘って、家に招きいれた。

「今日は、海堂にプレゼントがあるんだよ」
「…俺、貰う理由ないっす」
「誰もあげるとは言ってないよ」
「は?」

プレゼントがあると言われ、顔を曇らせてしまう海堂。
理由もなく何かを買ってもらうなんてことは対等じゃない気がして、海堂は受け取りたくはないのだ。
だからこそ、断ろうとしたところの乾の言葉に、キョトンとした表情を浮かべてしまう。

「海堂のために買ったけど、それは俺の家に置いとくんだよ」
「わかんないっす?」
「まあ、見ればわかるよ。おいで」

乾の言ってる意味がわからない海堂は、キョトンとしたまま乾に着いて乾の部屋に入っていった。

「これ!」
「どう、海堂が喜びそうだなと思ってさー」
「で、でも…」
「勿論、さっきも言ったようにこれはここに置いとく」

これとは乾が通販で買った、乾のベッドの上に置かれた特大のトトロのヌイグルミ。
見た瞬間、これを抱っこした海堂が浮かんで、速攻で購入したのだ。

「で、海堂がこれを触りたくなったら、うちに来る」
「はぁ…」
「これで、海堂にも家に来る理由が出来ただろ」
「…っす」
「で、俺はコレを抱っこした可愛い海堂が見れると」
「はぁ?」
「これぞ、一石二鳥!」

言い切る乾に何か違うと思いながらも、海堂は言い返されるのがオチだと何も言わないでおく。

「で、どう?」
「……可愛いっす。さ、触って…」
「海堂のだもん、いくらでも」

それに、海堂自身ひっそりとこういう可愛い物に目がない。
だから、乾の言ってることがよくわからなくても、あれを自分が好きにしていいというのだけはわかったので、後は結構、どうでもよかったりしたのだ。

「か、可愛いっす」
「うん、思った通りに可愛い」

ギュウっと特大のトトロのヌイグルミを抱き締めて、頬擦りする海堂。
その海堂を見て、悦に浸る乾。
その手にはデジカメとビデオカメラが装備され、その可愛い海堂の姿を写真と動画の両方で撮り続けていた。

「先輩、俺。すっげー嬉しいっす」
「俺も、喜んで貰えて嬉しいよ」

それはもう嬉しそうに笑う海堂は、乾の思惑通りにその日は乾の家に泊まった。
そして……

「海堂?」

夜、データー整理をしていた乾。
いつもならいい加減、乾に構って貰えなくて拗ねた海堂が何らかのアクションを起すのだが、それが起きずに乾が後ろを振り返る。

「……全く、可愛いねー」

振り返ると、ベッドに座っていた海堂は、トトロのヌイグルミを枕代わりに、体をヌイグルミに預けて、頬をヌイグルミにすり寄せて寝ていた。

「でも、どうせ擦り寄るなら、俺にして欲しいな」

その姿に目を細めて、乾はヌイグルミから海堂を引き離して、自分の胸に抱き寄せた。

「自分で買ったんだけどさ、ヌイグルミばっかり構うから、ほんの少しやきもち妬いたって言ったら、信じてくれる?」

乾の腕の中で丸まって眠る海堂に、小さく乾が打ち明ける。
そして、声が聞こえていたかのように、眠っている海堂は乾の言葉を聞いた後、ふんわりと笑った。

Fin