ぬくもり



本当に、本当に時たまなんだけど、どうすることも出来ないくらいに、人恋しくなる。

そうなってしまったら、もうどいうすることも出来なくて、誰もいない家に恐怖を感じて、逃げるように夜の街へと飛び出した。

誰でもいい。
誰でもいいから、ぬくもりが欲しい。

だから、君は近づかないで。


「んでだよ」

そんな怒ってますって顔して、睨まないでよ。
ほら、間の一年が怯えている。

「可哀相だと思うんなら、離してやれよ」

そうなんだけどね…
でもね、ぬくもりがなくなっちゃうじゃないか。

「いいから離せ。それに、てめぇもさっさとどっかいけ」
「ひっ」

あーぁ、半泣きになってるじゃないか。
薫も先輩になったんだから、もう少し、後輩を大事にしないと。

「それとこれとは、話が別だろ」

別かな?別じゃないでしょ。

「もういい。俺だって、あんた以外の奴に抱きついてやる」

それはダメ。

「なら、とっとと離れろ」

それも…困る。

「…ったく…」

呆れてる?
呆れてるよね?

「こうなりゃ、力づくだ」

あ…!!

「スミマセンっしたー」

行っちゃった…
ひどいよ、腕づくで引き離すなんて。

「不満でもあんのか?」

ある…けど、ない…

「んだ、それ?」

今はね、ただぬくもりが欲しいだけなんだ。

「で?」

だから、君は嫌。

「訳わかんねー」

だってね、俺は本当に君が好きなんだよ?

「知ってる」

だからね、こんな誰でもいいって気持ちの時には、傍にいて欲しくないよ。

「?」

君を好きな気持ちさえ、嘘にされてしまいそうだから。

「しねぇよ」

うん、君はそうだろうね。でも、俺は自分が嫌なんだ。
君を、他のどうでもいい誰かと同じ扱いにしてしまうのは。

「俺もやなんだよ」

何が…?

「どんな時だって、俺以外の人間を抱き締めてるアンタなんて、見たかねぇんだよ」

…それって、嫉妬?

「んなんじゃねぇよ、ボケ」

顔、赤いよ?

「うっさい」

何か、すっごい幸せ。

「うぅ…」

好きだよ

「なら、もう二度と他の奴抱くんじゃねぇぞ」

うん。その代わり…

「こんなもん、求める必要もないくらい、傍にいてやる」

…!!

有難う、大好きだよ。

「…………俺……も………だよ」

君に逢えたから

もう二度と、こんな風にぬくもりを求めることはない

Fin