ワンコとニャンコとウサピョン 2



乾・不二・菊丸により、手塚ににゃんことわんこと覚えられてしまった海堂と桃城。
一年たち、レギュラーを獲得して、何とか名前を覚えてもらって汚名を消せたのだが……
手塚が九州に行って、戻ってきてから……

「…………」
「どうしたんだろうにゃ?」
「いつもなら既に怒鳴ってるよね?」
「九州いってボケたんじゃない」
「あれ以上、ボケられてもなー」
「乾・不二…」

部室に勢ぞろいしたレギュラー
椅子に座って各々くつろいである部分を眺めている3年レギュラーに、その彼らの眺めている先に口論始めてる…いずれ取っ組み合いになりそうな1.2年レギュラーの3人。
いつもなら

「グラウンド…」

のあの声を未だにかけることなく、怒りのオーラーを撒き散らして眺めている手塚を盗み見しながら、こそこそと話している3年レギュラー。

「どう思う?」
「名前をど忘れしたのに、1万円」
「それじゃ賭けにならないぞ」
「だよね」

顔を寄せ合って話すのは不二と乾と菊丸。
大石と河村が手塚が暴走する前に止めたほうがいいと、3人を止めにいく。

「ワンコ、ニャンコ……」
「手塚?」
「懐かしいな、その呼び名」
「乾」
「どうした?」
「ニャンコが2人……」
「「「なっ…ふははははははははは……」」」
「やられたにゃ、それで黙ってたのか」
「スゴイよ手塚。本当に僕を笑わせてくれる天才だよ」
「そうだな…ニャンコが2人か、じゃあどっちかを変えるか…」
「なら、ウサピョンがいいよ」
「いいね、今の海堂はニャンコよりもウサピョンだよね」
「ふむ、ワンコとウサピョンとニャンコか…」
「海堂は後で慰めてやろう」

止めにいってる河村・大石の心労を余所に、悪魔の囁きは完了した。

「いい加減にしろ」
「遅かった…」
「ワンコ、ウサピョン、ニャンコは罰として、グラウンド30周だ!!」
「またー」
「ウサピョン?もしかして俺?」
「何っすか、そのニャンコって?」

手塚の声に、唖然としてしまう三人。
あの日の悪夢を思い出した桃城に、より嫌な予感がする海堂。
そしてわけがわからない越前。
そんな三人に天使の助けならぬ、悪魔の声が聞こえてくる。

「手塚ね、名前覚えるの苦手なんだよにゃ」
「九州行ってる間に君たちの名前忘れたみたいでねー」
「あだ名は覚えていたらしくてな」
「でもってニャンコは2人いるって言うからさ」
「乾と付き合ってからの海堂は、ウサピョンのほうが似合うよって」
「ことで、薫ちゃんはウサピョンに決定にゃー!!」

無茶苦茶なことを言ってくれる三人に、1.2年トリオは呆然とするばかり。

「何で、ウサ…」
「だってさ、ウサギって寂しいと死んじゃうんだよ」
「海堂って乾いないと、寂しそうにコートの隅で一人でいるからさ」
「「その姿がウサピョンなんだよねー」」
「そ、そんな……」

3-6トリオの言葉に海堂はもうあいた口が塞がらないという状態で、口をパクパクさせている。

「何をしている、さっさと走ってこないか。それとも、増やされたいのか!!」
「ここは、諦めて走っておいで」
「何とか、あいつらを止めてみるから」

少しも動こうとしない三人い焦れた手塚の声に、河村と大石がすまなさそうに背中を押す。
ショックを隠しきれないまま、グラウンドへと向かう三人。

「今度はいつ覚えてもらえるんだろうか」
「ウサ…ウサ…」
「部長の口から聞きたい言葉じゃないですね」

ハァと深い深い溜息を吐く三人。
名前を思い出してもらうのはいつの日か。

Fin