嫌い



先輩の嫌いなもの

1に掃除、2に掃除。
3.4がなくて、5に掃除

だからって、コレはねぇだろう(怒)

「…だからね…試合も近いしね…データの整理を…」

データの整理は得意なくせに、部屋の整理は出来ないんっすね。

「そ…それは…整理といっても、違うし…」

目の前には、慌てて弁解する先輩。
いつものような淡々とした口調ではなく、幾分、慌てたような口調。

「…でね、整理は出来たんだけど…その間は、それにばっか集中してから…」

してから、片付けはすっかり忘れてたって言いたいんっすね?

「…ゴメンなさい」

俺、言いましたよね。
一回、一回、片付けろって。

「はい」

俺の言葉に、すっかり暗くなる先輩。
シュンと項垂れて、大型犬を思い出す。
でも、まだ許してはやらねぇ

「決して、薫の言葉をおろそかにしてたんじゃないんだけど…」

でも、集中すると、俺のことなんか、すっかり忘れてしまうんですよね?

「そんなことない」

…忘れてたでしょ?
俺が怒るっていうのも、言った言葉も。

「……でも、片付けようとはしたんだよ」

その割には、その痕跡が残ってないんですけど…

「それは…」

思っただけっすか?

「…ゴメン」

今日の俺は、ブチ切れモードではなくて、マジ切れモード。
そのせいか、先輩も大人しく謝ってくる。
俺が本気で怒ってるってわかってるんだろう。

「…怒ってる?」

当たり前です。

「俺のこと、嫌いになった?」

いっそのこと、なってしまえたら楽っすね。

「う…そうだよな…俺なんかより…」

ヤバっ、拗ねモードにはいっちまった。
こうなったら大変なんだ。
とことん、自分を卑下した挙句、一人で勝手に自己完結して、ドツボにハマって、部長か不二先輩のとこに逃げ込むんだ。
過去、何回不用意に拗ねさせて、部長や不二先輩の前で恥ずかしい目に合わされたか。

「ゴメンね。俺みたいなのの相手して、大変…」

タイヘンじゃねぇよ。
アンタみたいな、手のかかるの俺くらいしか扱えねぇだろ。

「薫…?」

いいよ、もう。
アンタが掃除嫌いでも、俺が結構好きだから。

「へ?」

お互い、足りないもの補っていけて、いい相性だろ。

「え?え?」

アンタの、こういうダラシないとこも、全部含めて、アンタが好きっすよ。

本当に、厄介な相手に一生に一度の恋をしたもんだ。

Fin