「桃城、俺の幸せのために死ね!!」
「ハフーンvv」
朝、逢うなりライバルの海堂に思いっきり殴られた。
かなり、痛くて幸せvv
のまま、気を失ったらしい。
「……うん?ここは?」
次、目が覚めたら俺はどうやらどっかの隠れ家のような狭い部屋の中にいた。
目の前には海堂が、フシューっといつも息を吐き出して俺を威嚇しているらしい。
「おい、マムシ」
「マムシじゃねぇ」
開口一発。
こいつ、本当に遠慮がねー、かなり気持ちいいけどよ。
「それより、何で俺がこんな目に合わなきゃいけないんだよ」
「うっせー、てめー一人のせいで何人の人間が迷惑してると思ってんだ!!」
「何のことだよ!!」
「手塚のことかな?」
「不二先輩!?」
ドアが開いて、そこから不二先輩が入ってきた。
海堂が驚く様子がないとこからして、今回の首謀者はこの人らしい。
「桃には悪いんだけど、犠牲になってもらうよ」
「先輩vv」
もう一人いた。
不二先輩の後ろから同じように入ってきたのは乾先輩。
海堂の野郎はそれはもう嬉しそうに犬なら尻尾がちぎれんばかりに振られている状態で乾先輩の傍に駆け寄っていく。
「有難う、海堂。見張りしてくれて」
「…先輩が望むなら」
「本当に海堂はいい子だね」
おいおいおい…人を縛り上げて、拉致しておいて何イチャイチャしてんだよ。
俺は未だにわけがわかんねーんだよ。
ただ、面子が面子だけに微かな期待があるんだけどよ。
だって…だってさー
不二先輩に乾先輩といやぁ、テニス部のみならず青学全体で恐れられている存在だぜ。
そんな二人が首謀者で俺ってば拉致られて…
もう、今から何かがあるんだと思ったらゾクゾクしてきたぜ。
「乾も海堂も、僕の目の前でイチャイチャするのやめてくれる。僕だって早いとこ終らせてタカさんとイチャイチャしたいんだから」
開眼気味の不二先輩が乾先輩と海堂を見る。
いいなー、あの二人。
俺も開眼されてーよなー
「わかった、さっさと済ませるから。海堂、少しだけ大人しく待ってて」
「っす」
不二先輩の言葉に苦笑して乾先輩は海堂から離れる。
海堂不満そうだなー
それでも本気で大人しく待ってやがる。
こいつ、本当に乾先輩の言葉だけは聞きやがるからな。
「さて、桃」
「何っすか?」
「今日が何の日か知ってるかい?」
「今日っすか?」
「そう、今日」
今日ねー今日…
うーん何かあったっけかなー
……そういや、今日はやけにギャラリーがそれも女子の軍団が多かったような。
何でだ?
「馬鹿だ、馬鹿だとは思ってたけど、そこまで馬鹿だったなんて、救われないね桃」
「ひでぇっすよ、不二先輩」
「本当に救われないな、桃城」
「え、何がっすか?」
「凄い嬉しそうだぞ」
「マゾって身体的苦痛だけじゃなくて、精神的苦痛にも悦ぶんだ」
「変態野郎」
おいそこ、ボソっというな。ボソッと
しかも、ドアの傍でよー
「海堂、逆に喜ぶから」
「っす」
ひでぇ言われようだけど、本気で幸せ感じてるんだからしょうがねー
乾先輩も不二先輩も普通に人の心臓にナイフを突き立てるような言葉を吐くのが得意だからよー
「そんなことより早速本題に入ろうか」
「そうだね。桃、今日はね手塚の誕生日なんだよ」
「…そういや、そうだった気が…。でも、それと何か関係があるんっすか?」
「ああ、大有りだ」
「煩いんだよね」
「煩い?」
「手塚がな、誕生日プレゼントを今年に限っては催促してきてな」
「気持ちはわかるんだけどね。ただ、邪魔なんだよね」
「邪魔っすか?」
「ああ」
「手塚ね、状況も考えずにやってくるんだよ」
「そのせいで、何度いい雰囲気をぶち壊されたか!!」
海堂、そっからいきなり話しに入ってくんなよ。
うん?
そういや、最初に
「桃城、俺の幸せのために死ね!!」
とか言われたけど、それか!!
「おかげで海堂の機嫌が悪くてねー」
「はぁ…」
「僕もいい加減、タカさんイチャつきたいんだよね」
「それはわかるんすけど…」
マムシの言い分も乾先輩の言い分も不二先輩の言い分もわかった。
わかったけど、わからねー
何でだ?何で、それで俺が拉致られなきゃいけねーんだ?
「手塚ってば、プレゼントをね催促だけじゃなくて指定までしてきたんだよ」
「よっぽどそれが欲しいらしくてな」
「おかげでタカさんってば…あ、後、大石もだけど倒れちゃってね、今、英二が世話してるんだよ」
「へぇ、大丈夫なんすか?」
「たぶん、結果を聞いたらまた倒れる確率100%だろうがな」
「結果って…?」
「部長の趣味は悪いって話しだ」
海堂…それを言えば乾先輩の趣味もどうかと思うぞ俺は。
何を好き好んでお前がいいなんて言うんだ?
俺からしてみればそれのがわかんねぇぞ。
「海堂は可愛いぞ」
「先輩…vv」
乾先輩、それだけ分厚いレンズでも矯正しきれなかったんですね。
海堂、そこで悦に入んじゃねーよ。
てめーのその乙女行動も、充分、おかしいだろうが。
てめーに人のことが言えんのかよ。
「マゾと一緒にするんじゃねー」
…海堂、きっちりと先輩たちに感化されてんじゃねーか。
俺、声に出してねーぞ。
とうとうてめーも化け物の仲間入りか?
「桃、さっきから失礼なことばっかり考えてるよね」
「不二先輩…」
「僕には無関係だから、無視してたけど…」
か、開眼し・て・るvv
どうしよう、俺殺されるvv
「不二、無駄だ。やめとけ」
「…こういうとき、マゾって得だよね」
「得かどうかは知らないけどな」
「それより、早いとこやっちゃおうか」
「ああ、そろそろ約束の時間だからな」
「約束?」
「そう、手塚にプレゼント渡す時間なの」
「そういや、そのプレゼントって?」
「何、まだわかってなかったの?桃」
「わかってなかったのって…」
「不二、桃は底なし馬鹿ってのはわかってるだろう」
「ああ、そうだったねー」
二人とも楽しそうに…
本当、人をいたぶるのが上手いよなー
ああ、何かもう好きにしてってか、好きになってもいいですか!!
って、気分だ。
「ふざけんな、乾先輩は俺のだ!!」
「僕、タカさんがいるから」
「ああ言ってるしね」
全員、とうとう人じゃなくなって…
「桃、本当にいい度胸だね」
「手塚の頼みもあることだし、たっぷりといたぶってあげるよ」
「部長の頼みっすか?」
「うん、手塚ってば、桃がいいんだって」
「え?」
「誕生日プレゼント」
誕生日プレゼントに俺?
どういうことだ?
「桃城、本当に気付いてなかったのか?」
「何がっすか?」
「手塚、君のこと好きなんだよ」
「へぇ、部長が俺をねーーーーーって、ええっ!?」
あの部長が俺を?
俺が好き?
嘘だろ?
「だからさ、桃には悪いんだけど手塚を君にあげるから」
「いや、あの俺の意志…」
「あってたまるか」
「桃、手塚は童貞だぞ」
「はぁ?」
「だから、下手だよ」
「絶対に痛い思い出来るぞ」
「痛い…絶対…vv」
「そうだよ、だから大人しくしててね」
「え?え!え!?………ハ、ハフーーーーンvv」
す、すげぇ……
お、俺、もう……
「じゃあ、手塚、後は好きにしてよ」
「やりかたは一応、教えたからわかってるだろ」
「ああ」
あ、部長だ。
何か微かに嬉しそうな…雰囲気だけだけどな。
他はいつも通りだ。
「やりかたって、まさか実地じゃないですよね?」
「そんなわけないだろ」
「俺は乾なら、それでもよかったんだがな」
「手塚、誤解を招くから。海堂も、そんな疑いもたない」
「じゃあね、手塚」
「もう、俺らの邪魔するなよ」
あー先輩たちヒラヒラと手を振って出ていっちまった。
俺、どうなんだ?
これで部長上手かったらどうすりゃいいんだ。
「桃城、安心しろ。不二と乾にお前と確実に上手く行く方法を伝授してもらってきたからな」
結果
「部長、一生このまま上達しないで下さいね」
「桃城?」
「それなら、俺、部長と付き合っていいっす」
乾先輩の言葉通りに、部長は下手すぎて最高だった。
その上に、不二先輩と乾先輩に教えられたというサド精神でもって……
悔しいけど、惚れたかもしんねぇ
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